ビオトープ・ビオガーデン

ビオトープってなに?

高層ビル街やたくさんの車が走る道路、マンションや家がいくつも建っている住宅地などでは、草や木がたくさんあるところがなくなっています。わたしたちの生活に、もう一度、自然を取り戻すために、まず、「生きものたちがやってくる場」をつくろうと考えました。
それがビオトープづくりです。
ビオトープは、ヨーロッパで、失ってしまった自然を積極的にとりもどそうと、人工の森や緑豊かな公園がつくられるようになったのがはじまりです。
いなくなってしまった生き物を呼び戻すことは大変なことです。
日本でもいま、学校や公園のちょっとした場所でもビオトープづくりが行われています。
それは、トンボの池であったり、チョウのくる庭だったりします。
(現在スクール・ニューディールという制度も取り入れられ学校には積極的にビオトープづくりを国が助成するという動きもあります。)
身近にいる生きもの

近ごろ、スズメのすがたを見なくなったな?」と感じることはありませんか?
原因は、家のつくり方に昔とは大きなちがいがあるからです。少し前には木でつくられた家がふつうでした。
かわらの屋根にはすき間があり、スズメはそこで子育てをしたのです。屋根裏にはコウモリが住み、かべのすき間や雨戸をしまう戸袋の中には、ヤモリがたまごを産みつけたりと、生きものが生活する場所がたくさんありました。
ところが、いまの家はコンクリートになり、家にすき間などはありません。これが快適な住まいということでしょうか。
窓わくにはサッシが入り、戸袋はなくなりました。そして、音が外にもれないかわりに、小鳥や虫の声も入ってきません。
もちろん、枯れ葉の音や花の香りも建物の中には入ってきません。
昔の人は家の中から季節を感じ、俳句や歌を作ったりしたのです。もう一度、身近に生きものがもどってくる工夫をしてみましょう。
もう、まわりに生きものがいないと思いこまないで、じっくり見て、自然を全身で感じるようにすると、身近にもたくさんの地球の仲間を見つけることができますよ。
トンボの池はどうなっているの?

トンボの池を作ってみました。
トンボの池は、トンボがたまごを産みにやってくる池のことです。
そこでは、夏から秋にかけてトンボがたくさん飛んでいるすがたを見ることができます。
トンボがたまごを産む池は、どんなことが必要なのでしょうか。
それは、トンボがたまごを産みつけられるような水草があること、ヤゴ(トンボの幼虫)が食べるエサがあることなどです。
池の底にはビニールやゴムのシートをしき、その上に砂や小石を入れます。その場合は、人が入るとシートが破れてしまうので、入らないようにしましょう。
また、底をコンクリートにする場合は、コンクリートから出てくる成分が、生きものにはよくないので、しばらく水を張って放置する必要があります。
鳥がやってくる庭

鳥の住む場所は?
鳥が好きな実のなる木は、春から夏にかけてたくさんの花をさかせます。その花には、鳥やチョウなどもたくさんやってきます。
また、鳥が水あびをする場所(1m四方)を用意できれば、トンボがたまごを産むし、カエルもやってきます。アメンボウやゲンゴロウの仲間を見つけることもできます。
秋から冬には野鳥のすがたを多く見ることができ、春から夏にかけて昆虫やカエルやヤモリなどの楽園になります。
住まいに調和したビオガーデン

住宅様式やデザインに調和した少スペースのビオトープ、ビオガーデンを作ってみましょう。
学校や公園に行かなくても四季折々の植物、水生植物、めだかなどいきいきと暮らす様子を子供たちに見せてあげる。
情操教育の一環としても注目されているガーデンプランです。
ビオトープ・ビオガーデンのポイント
家の中から成長の様子がながめられるような場所に配置するなど、ゾーニングに工夫を凝らしましょう。
水辺をつくる際、管理のことも十分検討しましょう。落葉を回収する網なども必要になります。
また小さな水辺に適した魚をよく検討しましょう。繁殖することを想定して少なめにすることもポイントです。
